首都防衛シミュレーション

思考が切り開く新未来

国、東京都、各省庁の首都直下型地震予測の比較検討について〜内閣府

ネットを検索すれば様々な主体の防災関連の資料を見ることが出来るのですがなかなかの分量です。
出来るだけ上手に全体を捉え当ブログのテーマに沿う部分を抜粋してみたいと思います。

・首都直下型地震の対応の仕組みざっくりと

あえて平たく書いてみます。先ずは国、内閣府です。

首都直下地震対策大綱

と言う計画書がPDFであります。プリントアウトしましたらA4で38枚でした。
これは国の基本でありベーシックプランなのでかなりざっくりな文章です。要は東京都が実際の中心的機関だと言うニュアンスでまとめられている感じがします。ある意味穴だらけの議論に聞こえてしまうところもあります。
例えば3日の備蓄を奨励するセンテンスが多発します。3日以降が本番ではないでしょうか。備蓄が切れたらどうするかが大事なところなはずですね。

都、国の各省庁の役割分担(権限)の統括として特に国としては首都機能維持と他国からの援助の窓口という風にまとめられている感じです。

首相官邸に本部、有明に現地対策本部。ここで一都四県のセンターを設置。川崎港からの支援物資を統括するプランを提唱しています。東京湾における津波は小さな規模と想定の上だそうです。
印象としては国家権力の采配とのお墨付きで国民に寄り添わない対応を押し付けてくるのではと懸念されますね。

専門家である福和先生が暴動をすら懸念されていらしたのも頷けてしまうところです。
無人となったコンビニ等の店舗に対する盗難行為を暴動と位置づけほぼ不可避として想定しています。
暴動をエクスキュースにしたいのだろうかと勘繰ってしまいますね。
内閣府担当部署に電話で簡単な質問をしたところボランティアに期待はするが起点となる場所等の不明瞭さによりハードルがあると認識しているとの事でした。
ならばその様な場を作れば良いのですけれど。
何しろ逃げ腰な印象は拭えません。

内閣府防災に膨大な資料

ウェブ上(内閣府防災情報)には相当な量のPDF資料がありちょっと全てを網羅するのは難しいかも知れません。
現時点(2022年)では平成25年にまとめられた ’ 首都直下地震対策検討ワーキンググループ ’ の見解に基づいたスキームを組んでいるとの事でした。

当ブログでは西荻窪プランに繋がりそうな幾つかのセンテンスを手短に抜粋して感じを掴む程度にしておこうと思います。

以下抜粋

●首都直下地震対策大綱 より

(1)首都地域は、政治中枢、行政中枢、経済中枢といった首都中枢機能が極めて高度に集積し、かつ人口や建築物が密集している。この様な首都地域において、大きな地震が発生した場合、災害発生後、都県境を超えた広域的な災害応急対策に不可欠な政治・行政機能や、我が国の経済中枢機能などの首都中枢機能の継続性の確保が課題となる。さらに、他の地域と比べ格段に高い集積性から人的・物的被害は甚大なものになると予想され、その軽減策の推進は我が国の存亡に関わる喫緊の根幹的課題である。
本大綱では、このような「首都中枢機能の継続性確保」と「膨大な被害の軽減と対応」を図るという視点から、”首都中枢機能の集積地域”や”人口や建築物が密集している地区”を対象エリアとした。

●首都直下地震対策検討ワーキンググループ内、首都直下地震に係る首都中枢機能確保検討会 報告書全体要旨第二条 より

官民一体となった様々な主体間の連携体制の強化
首都直下地震への対応に当たっての各主体間の連携については、一定の取組は見られるが、未だ十分とは言えない。
連携不足の要因の1つは、業務継続計画の策定単位や防災への取組単位が組織ごとになっているためであり、連携を具体化していくための仕組みが必要である。また、他の要因としては、責任の所在にあるとの指摘もある。

連携の動きを加速化するためには、官民の主体を幅広く集めた場を設置し、情報共有、各種課題の検討等を実施していくべきである

求められる連携の態様については、第一に国の各省庁間の連携であり、さらに国と東京都、国と9都県市、行政・中枢機関とライフライン、インフラ事業者等の連携の具体化が求められる。地域レベルの連携や、金融決済、医療、燃料、物流等分野別、業界別、テーマ別の連携、さらには官と民の連携に向けた幅広い検討が期待される。(実践を想定した訓練体系の整備) こうした観点から、今後は、

課題発見型訓練や多主体の参画・連携を重視した訓練、分野別・業界別、テーマ別の訓練等を体系的に構築し、計画的に実施していくべきである

●首都直下地震に係る首都中枢機能確保検討会 報告書 (内閣府)
平成24年 3月 第8回

p26~

4. 官民一体となった様々な主体間の連携体制の強化連携に向けた一定の動きは見られるが、未だ十分とは言えない。 連携を加速するため、新たな「場」の設置等取組の具体化が必要
国と都県市、中枢機関とライフライン、インフラ事業者等、地域レベル、業界別、テーマ別等求められる連携の態様は多様

(1)連携の重要性
各機関が業務継続の実効性を確保するには、各機関がそれぞれの計画の実効性を高めるとともに、各機関は相互依存の関係にあることから、高い実効性を持つ主体間の連携により相互確実性を高めることが重要である。特に、首都直下地震のような 広範囲に被害が発生する災害の対応に当たっては、ライフライン、インフラ事業者間 をはじめ重要な関係機関間の緊密な連携が必要である。また、各主体の復旧は相互に依存しているが、依存している部分が現在は推測の下に成り立っている。その推測 が本当に成立するかどうかは、各主体の取組の足並みが揃うか否かにかかっている。 さらに、首都中枢機能の継続性確保のように、行政のみならず、これを支えるライフライン、インフラ事業者をはじめ首都中枢機能を構成する多数の主体の業務継続が求 められる場合には、連携の重要性はより一層高く、非常時だけでなく平時からの連携が極めて重要である。
このため、現在の首都直下地震対策大綱等においても、連携の重要性については繰り返し指摘されている。

例えば、首都直下地震の発生を受け、国はあらかじめ定められた具体計画に基づき、救急・救助活動、医療活動、消火活動、輸送活動等を速やかに開始することとされており、情報が不十分な初期段階においても、計画に基づきこれらの行動を開始することとされている
その後の対応は、被災状況等の情報に基づいて、計画されている活動内容の修正を行いつつ的確な活動を実施することとされているが、この場合、的確な活動がどの程度実効性をもっているか否かが問題である。

p29~

3国と9都県市
現在、首都直下地震対策大綱等の計画体系が一定程度まで策定されていることにより、発災時の国と東京都・関係県市との連携の枠組みは策定されている。

例えば、国が調達した物資は、広域集積拠点に集められ、その後、都県により最終目的地に運ばれることが予定されているが、その場合の国と都県の調整はどのような形で図られるのか。 

国から地方公共団体へと受け渡される物資の一連の流れは、両者の緊密な連携によってはじめて成立する。したがって、計画をより着実に実行に移すことができるよう、平時からの連携強化、具体的な調整が強く求められる。
また、非常時にこれらの主体間でどのように情報共有、連携を図っていくかも課題であり、災害規模に応じて、国、都道府県、区市町村の連携、支援の仕組みは柔軟に変化させていくべきである。

p27

(4)連携を加速する「場」の設置
連携の動きを、今後さらに一層加速化するためには、新たな取組が不可欠である。
多種多様にわたる首都直下地震の関係者を広く包含した情報共有、情報連絡の場は設定されておらず、今後は、首都直下地震対策に関わる、官民の主体を幅広く集めた「首都直下地震対策協議会(仮称)」のような場を設置し、情報共有、各種課題の検討等を実施していくべきである。
また、こうした連携の場については、国と地方公共団体、行政と民間、各機関とライフライン、インフラ事業者等、さらには地域として、業界として、特定分野毎等、それぞれの枠組みで設置、構築していくことが望ましい。
平時にできないことを非常時に実践することは極めて難しい。平時から、連絡・調整、情報共有し、合同で訓練を実施して脆弱点を発見し、課題解決に向けて協働して検証・検討する等、連携を具体に実践していくべきである。 連携なくして脆弱点の発見は困難であり、各機関の計画の実効性を担保していくためには、こうしたそれぞれの枠組みの連携が欠かせない。

p29~

国と東京都
首都直下地震対策大綱においては、「防災対策を一義的に担う地方公共団体と、 積極的に被災地方公共団体の支援に当たるべき国との総合的な連携が極めて重要である」とされているが、首都直下地震で大きな被害を受けると見込まれる9都県市の中でも膨大な人口を有する東京都との連携は極めて重要である。
東京都のエリアは、首都中枢機能を担うほとんどの「機関・施設」が存するのみならず、我が国の主要企業の本社・本店が集積している地域であり、首都中枢機能の継続性を確保し、我が国経済の継続性を維持する上で極めて枢要な位置づけを有することは明白である。また、首都直下地震による被害の規模を見ても他県に比して大きな被害を受けることが想定されており、帰宅困難者数や避難者数も大きな割合を占めている。

したがって、災害対応に当たっても、国と東京都のより強い連携が求められるが、現在の状況は未だ十分と言い難い

さらに、東京都下の特別区、市町村は、地域における災害対策を一義的に行う地方公共団体として、予防対策、応急対応、医療救護、 避難等その役割は多岐にわたり、東京都と連携を取りながらその役割を果たしていくことになる。国と東京都、さらには区市町村が、それぞれの役割を連携して果たしていくため、連携の仕組みを具体化することが求められる

p31~

6官と民
首都圏生活者の生活再建を支援するためには、行政のみによる対応には限界がある。

首都直下地震対策大綱においても、「膨大な被害の発生が想定されることから、 公的な被災者支援活動だけでは限界がある」旨明記しており、自助、共助の強化の必要性について言及している

経済主体を担うのは民そのものであり、民間企業の業務継続計画策定率の更なる向上が求められる。
一方政府は、平時から、発災時、民に何を期待し、官と民でどのように協力を進めていくか、そのための環境整備をどう図っていくか等について、平時より準備しておくことが極めて重要である。具体的には、例えば、保険業界や建設業界等、被災者の生活再建支援に関わる関係者の場合には、どのような業務に携わってもらうのか、その際の官との役割分担はどうするのか等について検討が必要である。こうした業界に限らず、民に期待する事項は少なくなく、幅広く検討していくべきであり、そのための幅広い連携が求められるところである。

以下は参考

Twitter吉井博明
吉井博明先生は、事前に一律の避難基準を設けると空振りが増え信用度が低下し、国が一律に避難勧告することは韓国が行ったが国の担当部署の業務が過多になり支障が生じたと述べていました。

以上抜粋終わり

さていかがでしたでしょうか?

官と民の連携の必要性は説くもののハードルは高そうです。時系列的な問題点、つまり被害想定からの初動と実際の被害状況の把握からの調整と言う物言いにも説得力は欠けますね。

西荻窪プランがどうして必要かが導き出されると思います。

次の記事では東京都の最新予想も織り混ぜ抜粋してみようと思います。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。